Malifaux3e マスター紹介/ヤン・ロー

 
ヤン・ローが生きていた時代ははるか遠い昔のこと。命を落として暗い死の闇に溶け去っていくはずでしたが、強力な呪いにより精神だけが世界の狭間を彷徨うことになりました。とはいえ、その精神体もボロボロに傷ついており存在自体が非常に儚い状態でしたが、ある時、彼の子孫であるカタナカ・チアキの巫術により一時的に現界、それが楔となりヤン・ローの精神は以前よりもはっきりした存在となりました。さらにマリフォーに渡ったチアキを通じこの世界に満ち溢れる魔法エネルギーに触れ、それを利用することでより長い時間の現界もできるようになりました。一方で精神世界をくまなく旅して自らの子孫の魂を収集して取り込むことも覚えました。そして、子孫のなかでも特に強者たちの魂は共に現界させて率いるようになりました。
もし、あなたがヤンローに出会ったならば、決して油断をしないでください。姿こそ虚弱な老人のものですが、彼の精神は恐ろしいほどの年月を経て人間のそれとははるかにかけ離れた存在になっています。


ヤン・ローは「ANCESTOR」「RETAINER」の2つのキーワードを持っています。2つのキーワードモデルを含めたヤン・ロークルーのテーマは「魂の継承」となるでしょうか。この時点でJOJOみたいでカッコいいと思ったアナタには特にオススメです。
マスターのヤン・ローは非常に脆弱なステータスですが、1ターンごとに身体のパーツ(アップグレード)が装着されて5ターン目に完全体になるという、プレイヤーのみなさんからは「Malifaux界の百鬼丸」のニックネームで愛されているマスターです。
ギミックの性質からショートゲームにかーなり向いていないという致命的な弱点を抱えていますが、成長要素は漫画の主人公みたいなものだと考えると、俄然たのしくなってくるモデルですので良かったらぜひ使ってみてください(後ろ向きな〆)。

ゲーム開始前の時点でヤン・ローのステータスはヘルス10のDf3、Wp4、Mv4。
一般的な防御スキルはなく、攻撃のスタットも4です。
しかし、アクティベーションを開始するたびにヤン・ロー専用の「Ascendantアップグレード」が装着され、1枚装着される毎にすべての判定値が+1されていきます(最大+3)。
さらに3枚装着されるとMvも+1されてMv5ということになるのです。
まあ1ターン目から戦闘になることなんてほぼありません…よね…? それに2ターン目も本格的な戦闘になることはありません…たぶん…そう願えば…。
なので、3ターン目のDf6、Wp7、Mv5、攻撃スタット7(※実質的な数値です。)という輝かしいスタットをぜひ目に焼き付けておいてください。

装着するAscendantアップグレードは5種類あり、もちろんそれぞれに内容が異なります。
おおむね、装着した瞬間に使い切りで発動する効果常時発動のアクションや効果の2種類を持っている感じです。
基本ステータスの上昇はどれをつけても同じなので、どの順番で装着していくか、周囲の状況も伺いながら選択していくのが悩ましくて楽しそう。
以下にヤン・ローが取り戻していく5つのパーツを解説します。

・ASH Ascendant 灰? 燃えかすみたいな感じでしょうか。
装着した瞬間に、周囲Xインチの敵モデルにStaggered(アクティベーション終了までMvー2、味方の能力によって移動されない)。Xは装着しているAscendantアップグレードの数。
常時効果として、周囲3インチの味方モデルにコンシーリング効果(メレー以外のアタックアクションにマイナス修正を与える防御効果)を与えるのと同時に、周囲3インチを敵モデルに対してハザーダス(ダメージ1点)扱いにします。
また、周囲3インチの敵モデルにMv13で判定を迫り、パスできなければStaggeredと2ダメージを与える自分をショックウェーブにするようなアクションも追加されます。

・BLOOD Ascendant 血液でしょう。
装着した瞬間に、基本装備のレンジ攻撃を1回使ってよい。
常時効果として、エンゲージ中でもチャージが可能になり、その際にほかのモデルをすり抜けてOKになる「DIVING CHARGE」と、以降、レンジ攻撃をレンジ1のメレー攻撃として扱う「GUNFIGHTER」がつきます。(基本のヤン・ローはレンジ攻撃しか持っていないのです。)

・BONE Ascendant 骨。
装着した瞬間に、ヤン・ローからLoSが通っている味方Undeadモデル1体を選び、ただちにメレー攻撃をさせてよい。
また、以降、「6インチ先のコープスマーカーを取り除くことでソウルストーンを獲得、追加で対象のコープスマーカーの周囲3インチにダメージを与えるショックウェーブ効果」という内容のアクションが追加されます。

・FLESH Ascendant 肉体…? 灰はどこの燃えがらだったのでしょうか??
即時効果として、ヤン・ローとReliqualyアップグレード(後述します)がついたすべての味方モデルのヘルスがX点回復。Xは装着しているAscendantアップグレードの数。
以降、常時効果として、リジェネレーション+2および手札1枚で自己回復する「JUGGERNAUT」が追加。
さらに元々持っている味方モデルを回復させるアクションが、Reliqualyアップグレードのついているモデルに対してはLoSが要らなくなる、というアビリティを得ます。
だんぜん回復寄りの性能ですね。

・SPIRIT Ascendant 魂……!? え、魂なかったの??
即時効果として、ヤン・ローとReliqualyアップグレードがついたすべての味方モデルをXインチ以内にプレイスさせてよい。Xは装着しているAscendantアップグレードの数です。
そして、アビリティとしてすべてのダメージを1減らし、テレインやほかモデルを通り抜けて移動が可能になる「INCORPOREAL」を獲得します。
インコーポリアルは早めに欲しいけれど、即時効果は後半のほうが効果的なのが悩ましい。

冗談ぬきにしてすべての身体を取り戻したヤン・ローはかなりイケてます。
そして、ヤン・ローにはここからさらに強化される可能性がございます。
それについては、先ほど名前が登場していた「Reliqualyアップグレード」が関係してきます。

Reliqualyアップグレードとはなにか?
コアボックス収録のイザムをはじめとしてキーワード「ANCESTOR」をもつモデル(現状、すべてヘンチマン&エンフォーサーです。)にはそれぞれに対応したReliqualyアップグレードが存在しています。「Reliqualy」は「骨壷」みたいなニュアンスぽいです。
このReliqualyアップグレードは自発的にモデルにつけることはできず、そのモデルがキルされた時に、死亡時効果としてはじめてフィールドに登場し、8インチ以内にいる味方モデルに装着されます。
効果はそれぞれ対応していたモデルの能力が反映された内容になっていて、例えば、イザム(テリファイ&マニピュレーティブ無視とアーマー+2持ち)のReliqualyアップグレードは「テリファイ&マニピュレーティブ無視とアーマー+1」がつきます。
このアップグレードがつくことでヤン・ローはまだまだ上を目指せる、というわけです。



ちなみに、ReliqualyアップグレードはAscendantアップグレードとは異なり、モデル間で受け渡しする方法がいくつも用意されています。
また、RETAINERミニオンのゴクドーやコマイヌには「Reliqualyアップグレードが装着されると以降はMvが+2、すべての判定にプラス修正が加わる」というアビリティがあり、ほかのモデルよりも恩恵が大きいです。
さらにヤン・ローはキルされた時、周囲10インチ以内の味方モデルがReliqualyアップグレードを装着していた場合、そのReliqualyアップグレードを捨てることでヘルスが3〜5回復して生き残ることができる。というような理由から、Reliqualyアップグレードはまずヤン・ロー以外の味方モデルにつくほうがウマいかもしれません。

コアボックスに収録のミニオン、ゴクドーには「ANCESTORに置き換えられた(リプレイス)時にそのANCESTORを3回復して、それからテーブル端にゴクドーをサモンする」というちょっと何言ってるかわかんないアビリティを持っています。
これは、ヤン・ローのアクション「REBUILD CORPUS」が関係しています。
このアクションは味方のモデル(ANCESTORは除く)およびそれが装着中のReliqualyアップグレードを対象にしたアクションで、対象のモデルをReliqualyアップグレード元のANCESTORモデルと置き換える(リプレイス)というもの。こ、これは転生術!!
オトコのヒトはこういうのだいすきなんじゃないでしょうか。なお、リプレイスの際にヘルスが5回復&手札を2枚補充という効果もついてくるのでオンナのヒトもだいすきなアクションだと思います。ちょっと手順がややこしかったですが、この転生アクションがゴクドーを対象にした場合、ゴクドーは減らずに残りますよ〜ということですね。

イザム以外のANCESTORのモデルは買い足しになりますが、ヤン・ローを遊ぶうえでANCESTORモデルはいっぱいいたほうが間違いなく楽しいので景気良く買っちゃいましょう。どのモデルも個性的ですが、個人的には見た目と名前がサイコーなトシロー・ザ・ダイミョーがおすすめです。

ちなみに、ゴクドーはメレー攻撃のレンジ0なのがちょっとツラい感じでコマイヌと置き換えを検討していたのですが…、先ほどのアビリティを知ってちょっと悩ましいです。
テーブル端(相手のディプロイメントゾーンから6インチ以内は除く)にサモンというのがスキームによっては輝きそうな感じなので…。

まとめ
ターンが進むごとに強さを取り戻していくヤン・ロー。
ANCESTORモデルがキルされることで受け継がれるReliqualyアップグレード。
そして何度だって蘇るANCESTORモデルたち…!!
ヤン・ローたちを見ていくとあちこちに夢が詰まったロマンの宝石箱みたいなクルーです。
しかし、ヤン・ローが仕上がるのに時間がかかるところ、2種類のアップグレードを扱うために情報量が非常に多いところ、さらにスキーム向きのアビリティが特に用意されているというわけでもない、真価を発揮するにはユニークモデルが必要&さらに能力把握が大変、というクセの強い、初心者には非常にハードルが高いクルーと言わざるを得ません。でも、愛さえあれば、そのすべてを超越します
使ってみるとやりがいに溢れたとてもとても面白い、すべての人にオススメのクルーです。



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